RESEARCH NOTES
実際に起きたことと、突き合わせる。
PRSは“地図の細かさ”ではなく“実損との一致”を検証します。日本の過去の災害について、確定した一次資料の被害記録を集め、スコアがそれをどれだけ説明できるかを継続的に検証しています。このページは、その研究とデータ整備の経過報告です。
本ページは研究・データ整備の報告であり、特定商品の性能表示ではありません。
検証した実災害イベント
地震9 + 水災5
同一市区町村内の点格差
J-SHIS 250mメッシュ
衛星SARの浸水検出率
検証して不採用にした手法
DATA ASSETS
構築した検証データ
一次資料の確定被害記録を、出典付きで整備しています。全行が原典に遡れることが、この研究の核です。
地震 実被害マスター
2000–2018年の地震9件。消防庁・県の確定被害報/災害年報/記録誌から全壊・半壊・一部損壊の棟数を収集。全行に出典を記録し、都道府県合計と照合(reconcile)。揺れ/液状化/土砂の機構ラベル付き。
水災 実被害マスター
紀伊半島台風12号(2011)・九州北部豪雨(2012)・台風18号/26号(2013)・広島豪雨(2014)。家屋被害(全壊流失/半壊/床上/床下)と被害額。水害統計調査(国土交通省)より整備。
地震保険 被災率との照合
損害保険料率算出機構(GIROJ)が公開する地震保険の被災率(支払件数÷契約件数・損害区分別)を取得し、公的被害統計ベースの指標との整合を検証する手続きを実施。
建物・世帯の文脈データ
住宅・土地統計調査の建築時期別住宅数、各イベント“当時”の国勢調査世帯数(市町村合併は当時の境界で構成合算)。被害率の分母を時点整合で正規化。
POINT-LEVEL
市区町村では見えない「点」の差
同じ高槻市内でも、J-SHIS(防災科研)の250mメッシュでは 30年以内に震度6弱以上となる確率が 57.2% の地点と 6.7% の地点があります(約8.5倍差)。標高も 7.3m と 72m。物件のリスクは市区町村の平均ではなく“点”で見る必要があります。
高リスク地点
30年以内 震度6弱以上 · 標高 7.3m
低リスク地点
同じ高槻市内 · 標高 72m
同じ市区町村でも 0× の確率差。 リスクは平均ではなく「点」で見る必要があります。
出典: J-SHIS Y2024(地盤増幅込みの公的点確率)・国土地理院 標高API。2026-06取得。
METHOD
検証の手続き
連続損害指標
全壊だけでは低被害域の差が消えるため、地震保険の損害区分の公開支払割合(全損1.0〜一部損0.05)で重み付けした連続指標を採用。重みは公開値で事前固定し、データに合わせて調整しない(リーク回避)。
イベントを跨いだ検証
イベント内の順位一致だけでなく、あるイベントを除いて他イベントから予測する leave-one-event-out 転移、イベント単位のクラスタブートストラップ区間、重み感度分析を実施。単一の数字で語らない。
数値の開示方針
検証の数値・標本数・限界・再現コードは、秘密保持契約(NDA)下の資料で全て開示します。公開ページに精度の数値を出さないのは、数値だけが独り歩きする“検証のすり替え”を避けるためです。
HONESTY
採用を見送った検証も開示します — 衛星SARによる浸水検出
衛星SAR(Sentinel-1)で過去の洪水の浸水域を復元し、スコアの答え合わせに使えるかを3イベントで検証しました。結果は、衛星の観測周期が日本の洪水ピーク(多くは1〜3日で排水)を捉えきれず、水面を検出できたのは2〜4%にとどまりました。一方で『変化検出が公知の浸水域 約40km² とほぼ一致(38.99km²)』という一見きれいな結果も出ましたが、浸水していない対照地域でも同程度の変化が検出されたため、稲作の季節変化による偽相関と判断して採用を見送りました。
ここから学んだこと — 洪水の実損検証は、行政の確定記録(支援金・被害認定など)を主役に置く。都合のよい結果でも、反証に耐えなければ採用しない。
水面を検出できた割合
km² 一致も偽相関で不採用
OPEN DATA
データダウンロード(研究用公開)
以下は本研究で整備した検証データです。出典の公的データを加工して作成しています。出典明記のうえ研究・検証目的でご利用ください(現状のまま・無保証)。
地震保険被災率(損害保険料率算出機構)に基づく較正データは、公開データの利用条件を照会中のため未収載です(確認後に追加予定)。
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